外国文学

時代を越えたシェイクスピア ~映画『ノマドランド』に見る、悲しめる者にこそ宿る詩心~

W. シェイクスピアの生家(Henley Street, Stratford-upon-Avon, Warwickshire) 苦境に虐げられた流浪の人々を描きながらも、詩的な雰囲気をまとう傑作 いまだ収束の糸口が見えないまま、世界中がコロナ禍に見舞われて暗雲垂れ込める中、2021年に公開された…

この不透明な時代に、「コヘレトの言葉」を聴く ~「ヘベル」の解釈をめぐって~

ゴシック建築の教会(exact date and place unknown, England) コヘレトは言う。 なんという空しさ なんという空しさ、すべては空しい。 (『旧約聖書』「コヘレトの言葉」新共同訳 1章2節) コヘレトは言う。 空の空。 空の空、一切は空である。 (同上 聖…

東の『エマ』、西の『アンダー ザ ローズ』 ~英国マニアが描いた漫画の世界~

19世紀の面影を残すロンドンの路地裏(White Horse Street, Mayfair, London) 'London' William Blake I wander through each chartered street, Near where the chartered Thames does flow, And mark in every face I meet Marks of weakness, marks of w…

現代文学に見る「信仰」と「宗教」のあり方 ~キリスト教・ヒンドゥー教・イスラム教の交差点~

元旦の満月に照らされるニコライ堂(東京都千代田区神田駿河台) 彼は醜く、威厳もない。みじめで、みすぼらしい 人は彼を蔑み、見すてた 忌み嫌われる者のように、彼は手で顔を覆って人々に侮られる まことに彼は我々の病を負い 我々の悲しみを担った 『旧…

ヴィクトリア朝に生きた女達の、高貴なる「耐える勇気」 ~ブロンテと『エマ』の時代の英国~

19世紀の面影を残すロンドンの家並み(White Horse Street, Mayfair, London) 'Riches I hold in light esteem' Emily Brontë Riches I hold in light esteem, And Love I laugh to scorn; And lust of Fame was but a dream That vanished with the morn -…

ミサでクリスマスの意味を考える

クリスマスのイルミネーションに彩られたカトリック神田教会(東京都千代田区西神田) 昨今、「Merry Christmas」の代わりに、「Happy holidays」という言葉がよく聞かれます。これはもちろん、キリスト教の信仰者ではない人にも配慮した、広範囲の挨拶の形…